もしかしたら将来、マンガが教科書になる時代だってくるかもしれませんよーギャグ漫画苦難の時代-「赤塚不二夫120%」よりー
昭和30年代後半、赤塚不二夫先生が自身の漫画「おそ松くん」をPTAの人たちから「子どもに有害な悪書」だと酷評されて、言ったひとこと。
当時は上記のひとことを言った瞬間、「マンガが教科書なんて、冗談じゃない!」とすごい剣幕で怒られたそうだが、時代の移り変わりと共に、マンガは受け入れられ、いまでは一般的にも学びに活用されるようになった。
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学習マンガといえば、少し前までは歴史ものが一般的であったが、最近はビジネス系の古典や名著などもマンガ化されることが増えてきた。
また、そういった「学び」を目的にした漫画に限らず、「エンタメ」を目的にした漫画からも、その物語を通して、新しいことに興味を持ったり、深く考えさせられたという人は多いだろう。
今回はそんな「漫画から得られる学び」をテーマに、「科学・ITのこれから」を考えるきっかけとなる漫画を、10分野ピックアップして紹介したい。
自分は専門家ではないので、単純にこういった科学・IT分野が好きで、この記事もそんな勢いにまかせて書いているのだが、同じような科学・IT好きの人や興味を持ちはじめた初心者の人に役立てばと思う。
※電子書籍「Kindle(キンドル)」のある本を優先的に選んでいる。
【科学・ITの10分野】
人工知能
アトム ザ・ビギニング
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アトムが誕生する前、お茶の水博士と天馬博士が学生としてロボット研究をしていた頃の物語。自分は最初期の鉄腕アトムは世代的に遠く、詳しくはないのだが、そんな自分でもとても楽しむことができた。全体的に現代のロボット技術を反映して、リアル寄りに描かれている。
孤食ロボット
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小さなお食事サポートロボットと、クセのある単身者の人たちの様々な出会いを描いた短編集。食事のサポートに特化したミニロボットという設定が面白い。短編集だからこそ、自我のあるロボットとの別れが何度もおとずれる。寂しくも優しいお話になっている。
ネットセキュリティ
王様たちのヴァイキング
高校中退、バイトもすぐクビになってしまうような社交性のない主人公が、唯一の武器であるクラッキング(他人のデータへの進入やアカウント乗っ取りなどの違法な行為)の腕を、投資家に見いだされたところから物語がはじまる。悪には悪を。悪意のあるクラッカーたちと主人公のバトルをITの専門用語も踏まえて細かに描いている。
バーチャルリアリティ
ソードアート・オンライン
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「バーチャルリアリティ(VR)」とはヘッドマウントディスプレイなどを活用することで、CGとサウンドによってリアルな仮想空間を作り出す技術のことをいう。本作はそんなVR技術によって作られたオンラインゲームに閉じ込められ、リアルの体(=命)を人質に、ゲーム攻略を目指すことになった少年たちの物語である。2012年にアニメ化され、爆発的な人気となった有名作なので、知っている人も多いかと思う。ファンタジー要素を入れず、あくまで現実の延長戦としてのVR世界を描いているところが特徴的である。
ITイノベーション
スティーブズ
MacやiPhone、iPadを生んだAppleの創業時の物語を、圧倒的な熱量で描いた1冊。学校の図書室にあるような偉人伝と比べ物にならないくらい、漫画としての魅せ方を考えて作られている。うめ先生の「大東京トイボックス」の熱さが好きだった人には、ぜひ読んでもらいたい。
電子書籍
ナナのリテラシー
電子書籍の個人出版について、漫画家の鈴木みそ先生が自身の「限界集落温泉」電子版出版にともなう経験をもとに描いた作品。詳細な周辺情報や、まき起こる問題のひとつひとつが具体的でなまなましい。続く2巻で「ゲーム業界」、3巻で「ワイセツと表現の自由」など、それぞれが最新のテーマをもとにした物語となっている。
個人のIT利用(スマホ・SNSなど)
バイナリ畑でつかまえて
スマホやSNS、Googleストリートビューといった、ITを使いこなす現代の人たちのさまざまな物語を描いた短編集。実際にそのWEBサービスを使っていて、よく知っている人ほど「あるある」と感じてしまうだろう。ITの具体的な話をすればするほど、人間くささがにじみ出てくる不思議な作品。
ヘルスケア
はたらく細胞
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体の中を世界に見立て、細胞たちを擬人化し、肺炎球菌や花粉症といった人体への脅威を物語にした作品。タイトルからはまじめなお堅い印象を受けるが、細胞それぞれの特徴をとらえた変人っぷりには笑ってしまう。
※免疫系の話題を、もう一歩詳しく学べる漫画として「マンガでわかる免疫学」もおすすめ。ただこちらは「物語」よりも「解説」に比重を置いているためちょっと難しめ。
マンガで分かる肉体改造 糖質制限編
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そこらの入門所より詳しい解説。糖質制限に興味を持ちつつ、「なんとなく体に悪い気がする」なんて、避けていた人は、まず最初の1冊としておすすめしたい。 「マンガで分かる心療内科」で有名なゆうきゆう先生のいつものボケ、ツッコミのノリで、面白く分かりやすく解説されている。
脳科学
脳の教科書
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脳が成長する仕組みを学べる1冊。元となった書籍も読みやすく書かれているのだが、漫画となったことで、具体的なトレーニング方法がより分かりやすく理解できるようになっている。 物語は、脳のことなんて気にしていなかった出版社の編集者が、自分を変えるために、脳科学者の先生に教えをこうという流れになっているので、生徒の目線で感情移入もしやすいかと。
スポーツ科学
ベイビーステップ
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プロスポーツ選手が実際にやっているような手法が物語の中で自然に登場する。几帳面でマジメな主人公だからこそ、自身の結果や感じたことをノートに事細かに記録して、高速でPDCAを回すことで成長していく。最弱から理論を武器になり上がる、下克上の物語としても魅力的。
宇宙科学
プラネテス
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地球の周りにただよう宇宙のゴミ「デブリ」を拾う仕事をする青年の物語。2001年の作品なので、今回紹介した漫画の中では1番古いのだが、この時期にここまで具体的に描かれていたことに驚く。最近では、イーロン・マスク氏や堀江貴文氏など、ロケット開発に力を入れる方々のニュースをよく見かけるようになったが、本書を読むことであらためて、「なぜ人は宇宙へ行くのか」と考える機会を得られるかと思われる。
宇宙兄弟
(2024/10/05 21:35:35時点 Amazon調べ-詳細)
宇宙飛行士となった弟の後を追い、夢だった宇宙飛行士をふたたび目指すことになった兄の物語。この作品はアニメ化、映画化もされたので、知っている人も多いのではないだろうか。宇宙飛行士の試験や、事故にともなうパニック障害など、ひとつひとつの出来事がリアルに描かれている。現在進行形で続いている作品なので、次巻ではどんな話が展開されるのかと、とても楽しみにしている。
【+α】
ITベンチャー投資
インベスターZ
(2024/10/05 21:35:35時点 Amazon調べ-詳細)
科学・ITを発展させるには、それ相応の研究費がかかる。エンジェル投資家やクラウドファンディングといった、お金の話は必ず絡んでくる。この「インベスターZ」は、そんな「投資」を題材にした漫画である。学生投資部という変わったところを舞台に、主人公は実戦を通して「投資」のなんたるかを学んでいく。とくに9巻のITベンチャーへの投資の話では、実在の人物が多数出てきたりと、著者と編集部の取材力に驚いた。
ビッグデータ解析
マンガでわかる統計学
ビッグデータに直接的に関連している内容ではないが、基礎知識として統計学を学ぶのであれば最適な1冊。一時期から、ビッグデータ解析やデータサイエンティストという言葉をよく見かけるようになったが、従来の方法との違いを理解するためにも基礎を学ぶことは有効である。ただし、この1冊だけ、Kindle版が出ていない…。続編の「回帰分析編」「因子分析編」含めて紙だけなのである…。(Kindle版が出ると個人的にも嬉しいのだが。。)